
- ドローンは近い将来、より生活に身近な存在になるに違いない
- 今からドローンに関する知識や技術を身に着けておけば、今後、役に立つかもしれない
- どうせだったら、花形である空撮による映像関係の仕事がしたい
この記事を読んでいる人のなかで、このような思考になった人はどれくらいいるでしょうか。
わかりやすいように、「ドローン」を「サッカー」に置き換えてみましょう。
サッカーを仕事にしたいと考えている人は、100人いたら100人が「サッカー選手になりたい」と答えるのではないでしょうか。「サッカーボールを作る仕事がしたい」「競技場のメンテナンスをしたい」と答える人は、かなりの少数派だと思います。
ドローンにおける「サッカー選手」が、「操縦士」にあたるでしょう。よって、操縦士になりたいと思うのは当たり前のことです。
では、操縦士になるにはどうすればいいのでしょうか。現状について説明していきます。
ドローン操縦士になるのは、かなり難しい
結論から言います。ドローン操縦士になるのは、非常に難しいです。
いきなり厳しい言い方になってしまい申し訳ありませんが、あくまでも「難しい」と言っているのであって、「なれない」わけではありません。
さっきの例えで出した「サッカー選手」も、多くの人が「なかなかなれるものではないよ」と言うはずです。それと同じようなものだと思ってください。
しかし、ただ漠然と難しいといっているわけでもありません。そこにはきちんと理由があります。
一部のドローンスクールによる過剰な煽りについて
「ドローン 仕事」で検索してみると、ドローンスクールの広告ばかり出てきますね。
スクール側は当然、生徒を集めなければ利益に繋がりませんので、セールストークを繰り広げます。
そこでよく見かけるのが、「操縦士になれるのは今がチャンス!」などという煽り文句です。
もちろん、ドローンは発展途上の分野で今後も活用が推進されていくことでしょう。しかし、これはあきらかな誇大広告です。
ドローン操縦士がビジネスとしてニーズがあるというのは、まだ先の話だといってもよいでしょう。
操縦士のニーズは特に少ない
一般社団法人ドローン操縦士協会の報告によれば、ドローンの普及によって14万人もの雇用が必要となるといいます。
この14万人と言う数字を見て、皆さんはどう思ったでしょうか。
「なんだ、14万人も必要とされるのであれば、操縦士にもなれるんじゃないか」
そう思いませんでしたか?
しかし、これは数字のトリックです。実は、その大部分を占めるのは公共事業・インフラや農業、セキュリティの分野なのです。
もちろん、意味合いは大きく異なりますが、誤解を恐れずにあえていうのであれば、求人の8割近くがサッカーでいうところの「サッカーボールを作る仕事」や「競技場のメンテナンスの仕事」であるということなんですね。
空撮、つまり操縦士の分野はニーズが少ないというのが現状です。
ドローン操縦士の求人が少ないのはなぜか
では、どうしてドローン操縦士の求人は少ないのでしょうか。理由は3つ考えられます。
ひとつめが、業界自体がまだ発展途上であることです。
今後、ドローンが普及するとは考えられていますが、まだまだ発展途上。数百人規模の組織的な企業はありません。
そうした大規模な組織が整備されない限り、まだニーズが高まる可能性は少ないと考えられます。
ふたつめは、すでにレッドオーシャンかもしれないということ。
仕事の母数が少ないにも関わらず、ドローン撮影業者は増加しています。もちろん、その大部分はまだ仕事にはできていませんが、今後、需要が高まった際に供給が過多になってしまうことが容易に想像できます。
今後、操縦士の求人が増えたとしても、一生の生業とするのは非常に狭き門となるでしょう。
つまり、操縦士の求人は現状ではほとんどないにも関わらず、すでに競争が激しいレッドオーシャンであることが考えられるのです。
最後は、操縦士という仕事は個人に仕事が集まる分野であるということです。
「撮影」というのはクリエイティブな仕事です。よって、ニーズが高まるのは「美しい映像が撮れる人」もしくは「何らかの実績がある人」に限られてきます。
映画監督が「この俳優に出てもらいたい」と考えるのと原理は同じで、「この人に映像を撮ってもらいたい」と思われなければ仕事にはつながりません。
ドローン操縦士に求められるのは確かな実力と実績を持っているという、個人のブランド力です。クライアントは「ただドローンを飛ばせる操縦者」はいらないのです。
まとめ
- ドローンの操縦士になるのは非常に難しい
- そもそも現状ではドローン操縦士の需要が少ない
- 需要が高まったとしても、仕事にするには個人のブランドが必須
ネガティブな話ばかり書き連ねてしまいましたが、この記事で伝えたいことは、「クリエイティブな世界に飛び込むのは、それなりの努力と根気が必要である」ということです。
ドローンの操縦士になるには、数々の困難が待ち構えています。ですが、「絶対に操縦士になる」という熱意を持った人であれば、ぜひチャレンジしてもらいたいと願っています。